男はつらいよ 「寅次郎わすれな草」

浅丘ルリ子演ずる異色マドンナが初登場

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製作:松竹
製作:松竹(大船撮影所)
公開日:1973.8.4
監督:山田洋次
脚本:山田洋次、宮崎晃、朝間義隆

ご存知寅さんの11作目。父親の法事をめちゃくちゃにし、皆と喧嘩してとらやをとび出した寅次郎がたどり着いたのは初夏の網走。ドサ回り歌手リリー(浅丘ルリ子)と出会い、自分に似た境遇と知り意気投合。二人は網走川で分かれるが、柴又で再会する。
リリーはこれまでのマドンナになかったタイプの女性で、この後「相合い傘」「ハイビスカスの花」「紅の花」と全4作品に登場する。それだけにこの「忘れな草」はキーポイントになる作品であり、ファンの間でも評価が高い。

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寅次郎がふらりと降り立った網走駅を覗いてみよう。車がないと生活が成り立たない町で、列車を日常的に使うのは免許証を持たない学生とお年寄りだ。この日も登校する高校生が次々と列車から下りてきた。当時も同じような通学風景が見られたのだろうか。普段は静かだが、シーズン時には観光客が多く利用する駅でもある。
撮影の数年後改築工事があり、現在の駅舎の形(「黄色いハンカチ編」参照)となった。

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駅からバスに乗って市街地方面へ足を伸ばしてみることにする。
寅さんお得意の啖呵売、今回の場所は網走4条商店街の東端、網走神社の石碑が立っている所だ。石碑の隣に「テイコクデンキ」の看板が映るが、その関係なのか売っていたのはレコード。電気屋は、今は手芸店に変わっている。この場所を探すには、隣に大きな郵便局があるのでそれを目印にするといい。ここは神社の参道になり、まっすぐに南へ行くと山の上の網走神社につきあたる。

レコードはまったく売れず、寅次郎は網走橋(橋は交通の要所であり、人の集まりやすい場所でもあるので昔から商いの場とされていた)へと場所を変えるがやはりダメ。そこにリリーが現れる。
橋の上で似たもの同士が出会う‥物と物、人と人をつなぐものを「はし」という‥リリーとの出会いのシーンは象徴的だ。

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この作品の中で最も北海道らしい風景と言えば、住み込みで働いた酪農家のあった卯原内だろうか。山をそのまま牧場にしたような緑の急斜面を、寅次郎が転がるように走っていたのが印象深い。
あの牧場と同じ風景は、今はもう見られなくなってしまった。その後きれいに整地され、倉庫などが建てられているという。

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寅さんを追いかけてここまで来たのに、最後の最後でふっつりと足跡が消えてしまった。フーテンの寅さん、またどこかへ旅立ってしまったようだ。

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