文学(オホーツクブルー)

多くの文学者、作家が網走を訪れています

オホーツクブルー

現代紀行文學全集 第一卷 詩歌篇」(志賀直哉・佐藤春夫・川端康成監修 1958年 修道社)収録作品より

「現代紀行文學全集 第一卷 詩歌篇」
(志賀直哉・佐藤春夫・川端康成監修 1958年 修道社)収録作品より

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あきあぢの網こそ見ゆれ網走の眞黑き海の沖つ邉の波に若山牧水
(秋味とて鮭のとるるさかりなり、北見網走港にて)
(「黑松」旅中即興 1926年10月10日 講演のため来網)

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「曇り日のオホーツク海」 北原白秋(発表誌:1929年 『アルス』)
光なし、燻し空には日の在處、ただ明るのみ。

かがやかず、秀に明るのみ、オホーツクの黑きさざなみ。(後略)

「網走まで」 三浦哲郎(発表誌:1965年 『マダム』)
「網走港では、港の入口の帽子岩まで弓なりに伸びている防波堤の上から、はじめてオホーツク海をみた。曇っていたせいか、海の色がダークグレイで、思いがけなく凪いでいた。」

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「はじめて見た層雲峡から阿寒への道」 倉橋由美子(発表誌:1965年 『旅』)
「すぐ足元にはオホーツク海がせまっていました。冬になると天気予報でよく耳にするこの海は、仮死状態の生きもののように静かでした。うちよせる波の白い歯列ひとつみえない、ふしぎな海です。北方の暗鬱な海というイメージはまちがっていました。水はあくまで澄んであかるく、わたしの知っている南方の海のくろぐろとうねり輝く精悍な獣のような潮の動きがありません。」

網走という土地が穏やかに感じられるのは、海の静かさのせいでもあります。
夏の浜辺にゆるやかに打ち寄せ、冬は流氷とともに静寂に閉ざされるオホーツク海。
オホーツク海には、太平洋のような開けっぴろげな明るさや、高揚感はありません。また日本海のような人を寄せ付けない厳しさもありません。晴れた日は蕪村の「春の海ひねもすのたりのたりかな」という句を連想させるような穏やかでのんびりとした表情を見せ、また曇りの日は空の暗さを受けてどんよりとよどんだ湖沼のようにも映ります。

この海の代名詞は「オホーツクブルー」。「オホーツクブルー」は空の色だという説もありますが、やはり網走では海の色をあらわす言葉です。
若山牧水や北原白秋は「黒」、三浦哲郎は「ダークグレイ」と表現したオホーツク海。灰味を帯びた紺青の海に立つさざ波は黒に近い色。季節や見る場所、もちろん見る人によってこの色も微妙に変化します。
オホーツク海は作家、俳人、画家...さまざまなクリエイターたちを今も昔も変わらず魅了し続けています。

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